また何とも味わい深い古金工の鍔である。 後の肥後金工の大家である、平田彦三や西垣勘四郎、そして志水甚五へのインスパイアを与えたであろう作風で、茶道の精神でもある、”枯れた” 感じがとても良く、敢えて腐敗や浸食といったネガティブな表現である虫喰のデザインは、また様々な事を感じさせてくれる。
全ての生命は誕生より劣化し、形を変えていき、地に戻るような生命の流れ、また同じ時間は二度とない、経過という止められない波、虫喰われた様までも受け入れ、美術に昇華し、時代経過による変色もまた”美”であると訴えかけてくるようである。
昨今の寺社仏閣が文化財保存の観点から、ピカピカに塗りなおされて、生まれ変わる流れがあるが、二度と取り戻せぬ、時代経過による味わいが失われる流れも、少し考えさせられる。
大きさ:(縦)8,1cm(横)7,15cm(切羽台重ね)0,4cm
附:保存刀装具鑑定書 無銘 古金工 Mumei Ko-Kinko
価格 ”売約” 致しました。 神奈川県 御人 有難う御座います。