小振りではあるが、重ね厚く、典型的な尾張鍔である。鉄味潤いがあり切羽台や耳に表れた鍛地がとても素晴らしく、良質な地鉄を使用している事が良く分かる。切羽台は上下に引っ張ったように伸びている様は室町末期の時代の特徴であり、後にこの作品から学び多くの類似品は多く存在するが、この鍔が手本になった事が分かる。
猪目の形や透かしの線の柔らかさ、繊細さ、小柄笄櫃穴の微妙な大きさの違いや、その形がもたらす空間均整美、そして十文字の縦の竹、横の剣の力強さによる、強弱の表現、等、後世の類似品とは似ても似つかない作品であり、目利きの愛好家様には満足頂ける作品である。
大きさ:(縦)6,39cm(横)6,0cm(重ね)0,59cm
附:保存刀装具鑑定書 無銘 尾張 Mumei Owari
価格:11万円